スローとうしのすゝめ 「スローとうし」は、企業分析を楽しみながら、お気に入りの企業キャラを見つけ、推しキャラと一緒にのんびり投資ライフを送ろうというものです。
株が上がれば万歳三唱、下がれば現実逃避。推しキャラ変えるのもあなた次第。投資の考え方は十人十色。
あなたならではの、「スローとうし」をはじめましょう。
プロローグ
はじめに
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今日は前回までのアサヒとキリンに引き続き、ビール大手キリンホールディングスの投資分析をトレカ風にやっていきましょう。キリンといえばどんな商品を知っていますか?
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サッカー!!日本代表!!TVで試合観るとき、いつもキリンのCMやってる!!
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CMって、それ答えになってないけど…。キリンといえばビールだけど、私は『午後の紅茶』や『生茶』とか飲料メーカーとしてのほうが馴染みがあるわね。
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たしかにキリンは飲料やチューハイなどでも多くの商品がありますし、サッカー日本代表の応援企業としても有名ですね。今日はそのキリンHDの投資分析をやっていきましょう。
キリンHDの概要
- 名前【証券コード】
キリンホールディングス【2503】
- 創業・設立
1885年(明治18年)、麒麟麦酒㈱の前身、ジャパン・ブルワリー・カンパニー設立。その後、市場シェア70%を超える大日本麦酒㈱(後のアサヒとサッポロ)が誕生し、ジャパン・ブルワリーも大日本麦酒から合同の提案を受けるも参加せず、三菱から人材と資金援助を受ける形で麒麟麦酒が創立された。
- 事業の内容
ビールなどの酒類のほか、紅茶やキリンレモンなどの飲料事業や医薬事業も行う。
- 本社
東京都中野区(中野セントラルパーク内)
- 社員の数
全体で3万1千人くらい。
- 企業理念・使命など
自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献する
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たしか協和キリンという医薬品メーカーがあった気がするわ。
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へぇ~、そんな会社があるんだぁ。大っきな会社は色んなことをやってるんだね。
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キリングループには協和キリン以外にも、ワインのメルシャンや小岩井乳業、協和発酵バイオなどが子会社となっています。
企業の成長性を占う
せいちょう
業績の傾向
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まずはキリンが今後どれだけ成長できるのか、皆さんで業績を見ながら評価してみましょう。
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売上はほぼ横ばいかぁ。まあ、アサヒとサッポロもそうだっかたらチョット予想はしてたけど、ビールはなかなか厳しいんだな~。
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営業利益が19年に一度急減してるけど、これは何かしら?
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19年に利益が減少したのは減損損失があったためです。減損は資産の収益性が低下した場合に損失として処理することで、一時的に発生するものです。
売上収益
1兆9,413億円
※「その他」には、コーク・ノースイースト、メルシャン、協和発酵バイオなどが入る。
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次は収益の中身を見ていきましょう。『一番搾り』などのビールと『午後の紅茶』などの国内飲料が収益の約半分を占め、あとはオセアニア事業と医薬事業などで構成されています。
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海外展開ではオセアニアに力を入れてきたのがわかるね。
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たしかにキリンはオセアニアに力を入れてきましたが、同時に低収益事業の再編に取り掛かっており、昨年オセアニアの飲料事業から撤退することを発表したばかりです。
※出典『日本経済新聞』『日経産業新聞』の課税出荷数量に関する記事より作成。
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ここでビール類の市場シェアを確認しておきましょう。キリンは長らく圧倒的なシェアを持っていましたが、1987年のアサヒのスーパードライ発売を契機に、徐々にシェアを奪われているのがわかります。
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たしかにどんどん下がっているわ。今は完全にキリンとアサヒの一騎打ち状態ね。
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あとチョットでアサヒを追い越せそうなんだけどなぁ、それがなかなか難しい…
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キリンは「本麒麟」という第3のビールがヒットしたことで、直近では再びアサヒを追い抜く勢いです。今後もキリンとアサヒのシェア争いに注目ですね。
※主要な事業会社の売上を単純に積み上げたグラフです。
※主要な事業会社の事業利益を単純に積み上げたグラフです。
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ずっと売上比率に変化はないね。少しだけオセアニア事業の収益が減ってるかも。
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売上の割合に大きな変化はないけど、利益ベースで見るとビールとビバレッジ、医薬が伸びてる一方で、オセアニア事業の利益は減少傾向かしら。
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オセアニア事業の利益が減少してるところを見ると、先ほど話したオセアニアの飲料事業売却も頷けますね。
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なるほど、利益が小さくなったら売却する。社長も大変だなぁ…
近年の株価
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最後にキリンの株価も確認しましょう。これまでの業績と株価の動きを確認し、今後の株価の動きをイメージしてみましょう。
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株価は18年をピークに今は足踏み状態ね。業績も横ばい傾向が続いているし、株価もしばらくは一進一退かしら。
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キリンは事業再編に積極的だから、それがうまくいけば株価ももう一上がりするかもしれないわね。
評価値
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では、最後にキリンのステータス『せいちょう』を0~4の数値で評価してください。(目安 0:う~ん厳しい 1:もっとできる 2:ふつ~ 3:すくすく育て 4:ぐんぐん成長)
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それでは『せいちょう』の評価値は「2.0」ですね。
2.0
企業の利益率を測る
ちせい
ROEと3つの指標
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ROE(%) |
売上高利益率 |
総資産回転率 |
財務レバレッジ |
キリン
(19.12) |
6.6
(8.6) |
3.1
(3.7) |
0.82
(0.79) |
2.60
(2.93) |
アサヒ
(19.12) |
11.9
(10.1) |
6.8
(4.8) |
0.67
(0.89) |
2.60
(2.43) |
サッポロ
(19.12) |
2.6
(4.4) |
0.9
(1.3) |
0.77
(0.83) |
3.81
(4.06) |
サントリーBF
(19.12) |
9.4
(9.0) |
5.3
(4.3) |
0.84
(0.93) |
2.11
(2.38) |
※当期純利益を使用。( )は過去10年の平均、サントリーBFは上場後7年の平均。
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次は企業のお金の使い方という点で評価していきましょう。まずはROEを同業他社と比較してみましょう。
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なお、ビール大手のサントリーは非上場のため、代わりにサントリーの子会社で清涼飲料事業を担うサントリーBFの数値を載せています。
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サッポロのROEは6.6で、アサヒとキリンのちょうど真ん中くらいだね。売上高利益率も同じよーな感じ。
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ROEは過去10年平均と比較して若干低め。収益率はもう少し改善したいところね。
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主要企業のROE平均が9~10%前後と言われているので、キリンの6.6%は平均よりやや低い水準です。続いてROEの推移を見てみましょう。
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ROEがここ数年で大きく変動しているけど、これは事業再編に伴う結果かしら。この変動が落ち着いたときにROEの水準が上がっているといいけど…
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財務レバレッジは昔に比べて少しずつ上昇しているね。これもROEの上昇に繋がっているのかもしれないね。
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財務レバレッジもROEを上げる要因にはなりますが、キリンの場合は利益率を改善することでROEを上げていこうとする姿勢が見えますね。
ROAと営業費用売上比率
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ROA(%) |
営業費用売上比率 |
キリン
(19.12) |
3.7
(5.6) |
1.05
(1.08) |
アサヒ(19.12) |
6.5
(6.8) |
1.11
(1.09) |
サッポロ
(19.12) |
1.9
(2.5) |
1.03
(1.03) |
サントリーBF(19.12) |
7.3
(7.0) |
1.10
(1.08) |
※営業利益を使用。( )は過去10年の平均、サントリーBFは上場後7年の平均。
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次はROAと営業費用売上比率です。営業費用売上比率の上場企業の平均は1.05~1.10くらいで、1.15以上であれば十分といえます。
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ROAは3.7%でサッポロよりは高いけど、もうちょと上げたいところだね。
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営業費用売上比率も1.05と低めで、サッポロと同じくらいの値ね。
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ROAと営業費用売上比率の推移も見ておきましょう。
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営業費用売上比率は17年に一度上昇したけど、今は以前と同じ水準で落ち着いてる感じね。
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ROAも一気に上がって、一気に下がった。今は前よか少し低いかも。財務レバレッジの引き上げが影響しているのかな。
1株あたりの指標
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BPSが増えてないのが気になる。EPSの値動きの大きさが原因のなのかなぁ…?
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配当を増やしている場合もBPSが伸びないので、その影響もあるかもしれないわね。
評価値
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では、キリンのステータス『ちせい』を0~4の数値で評価してください。(目安 0:改善が必要 1:もう少し頑張れ 2:ふつ~ 3:賢い 4:大賢者)
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それでは『ちせい』の評価値は「1.5」としましょう。
1.5
企業の安定度を見る
あんてい
業績のバラツキ
業績の前年比標準偏差σ(%)
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1株利益σ(%) |
売上高σ(%) |
営業利益σ(%) |
キリン
(20Y) |
184.0
(9) |
7.2
(7) |
18.3
(7) |
アサヒ
(20Y) |
119.3
(3) |
5.5
(5) |
12.3
(7) |
サッポロ
(20Y) |
379.4
(8) |
6.2
(10) |
30.7
(9) |
サントリーBF
(7Y) |
39.3
(3) |
4.8
(0) |
10.1
(1) |
※( )は前年比がマイナスになった回数。会計基準の変更期は計算外。
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続いて業績の安定度を見ていきましょう。ここでは各指標の前年比の振れ幅を標準偏差で計算しています。数値が小さいほど安定度は高いことになります。
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キリンは売上高の数値が高めなので、その分振れ幅は大きめということかしら。
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1株利益が前年比でマイナスになってる回数も多いね。
株価のバラツキ
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株価のバラツキも簡単に確認しておきましょう。株価が大きく変動してるほど株価の安定度は低いと言えます。
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似たような動きだけど、キリンの動きはアサヒとサッポロの中間くらいかしら。
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食料品を扱う企業は、景気の影響を受けにくいので、株価の振れ幅もその分小さくなる傾向があります。
評価値
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では、キリンのステータス『あんてい』を0~4の数値で評価してください。(目安 0:フリーフォール 1:ジェットコースター 2:ふつ~ 3:メリーゴーランド 4:観覧車)
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アサヒとサッポロと比べて大きな差はないので「3」でいいかな。
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-
それでは『あんてい』の評価値は「3.0」にしましょう。
3.0
企業の期待度を知る
めいせい
株価と理論株価の乖離
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次は企業に対する期待度です。ここでは理論株価と実際の株価の差を期待度とし、「理論株価<実際の株価」の程度が大きく又は長く続く場合は期待度が高い企業ということにしています。
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だいたい理論株価と実際の株価は同じような感じだけど、17年くらいから急に差が大きくなった感じだね。なんでだろう?
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17年といえばキリンの利益が大きく増えたときね。それで理論株価が急上昇し、それを受けキリン株に注目が集まった結果、実際の株価も追随する形で上昇したのね。
評価値
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では、キリンのステータス『めいせい』を0~4の数値で評価してください。(目安 0:無名 1:聞いた覚えがある 2:ふつ~ 3:ほとんど知っている 4:英雄)
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それでは『めいせい』の評価値は「2.0」としましょう。
2.0
企業の優しさを感じる
やさしさ
配当状況
※配当性向が±100を超える場合は±100としています。
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最後は企業の配当です。配当から企業の投資家に対する優しさを評価してみましょう。
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なお、業種や規模によって差はあるものの上場企業の配当性向の平均は30%前後、配当利回りは2~3%と言われています。
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配当金は着実に増えてるし、配当性向も平均よりかなり高めだね。
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配当性向は50%近くあり、利回りも3%あれば一定の評価はできるわね。
評価値
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では同じように、キリンのステータス『やさしさ』を0~4の数値で評価してください。(目安 0:魔王 1:質屋の主人 2:ふつ~ 3:宿屋の女主人 4:女神)
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-
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では『やさしさ』の評価値は「3.0」としましょう。
3.0
企業カード
キャラデータ
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ここでトレカを作るにあたっての必要なデータを整理しましょう。キャラの生息地(エリア)は『ビールのくに』ですね。キャラの武器や魔法、敵はどうしますか?
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武器か…ここはヒット商品の『本麒麟』がいいと思う。
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魔法は、着実に収益を伸ばしている『医薬事業』が面白いと思う。
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< 特技・属性 >
えりあ
|
ぶき
|
まほう
|
てき
|
ビールのくに |
本麒麟 |
医薬事業 |
アサヒ サッポロ サントリー |
< ステータス >
せいちょう
|
ちせい
|
あんてい
|
めいせい
|
やさしさ
|
2.0 |
1.5 |
3.0 |
2.0 |
3.0 |
キャラカード
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最後はトレカに描くキリンのキャラですね。いつも通りキャラのイラストはサキさんにお願いして、タイチくんはキャラのアイディアを出してみてください。
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麒麟ってなんかの怪獣だったような…たしか龍と馬が合体したんだっけ?龍だから羽はいるよね。なんか元気な感じがいいかな。名前はドラん、みたいな。
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龍と馬で元気な感じか…なかなか難しいわね。頑張って描いてみますか…こんな感じかしら。
※画像をクリックして拡大。
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おぉ~、さすが。元気そうな感じで、まさにドラん。これでキリンのキャラは完成だね。
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今回はけっこう苦労したわ。ポイントは角と尻尾かしら。でも、元気な感じに描けてよかった。
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最後に私たちゆうかぶの投資判断の印をキャラカードに押しましょう。
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投資判断はステータス評価値の合計(RT)で決定し、13以上で『買い』、8以上13未満は『中立』、8未満は『売り』になります。
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注意
キャラカードに描かれたキャラクターは当サイト独自のもので、実際の企業とは何ら関係はありません。また当サイトの「買い」「売り」の判断はゆうかぶメンバーの見解によるもので、正確性・信頼性等については一切保証されておりません。投資の最終決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。