ここでは企業の財務データなどを見ながら、その企業の株が『買い』か『売り』かを、子どもの視点で勝手きままにトークします。なお、個別企業の株の買いや売りを勧めるものではありません。
今回は『理論株価』について簡単に紹介します。理論株価は「本来あるべき株価」とも言われ、理論株価と実際の株価を比較して、株価が理論株価よりも安ければ「割安」、高ければ「割高」と判定することができます。
てことは、理論株価より安い株を探して買えばいいのか!!!
でも前に、株価は売る人と買う人の思惑で決まるって習ったわ。理論株価があるなら、株価が日々変動することはないと思うのだけど…
たしかに…
そうです、そこがポイントです。実は、理論株価を計算しても実際の株価は乖離していることが多いです。これは、理論株価を求めるには、企業価値を計算しなくてはならず、この作業はかなり難しく、また計算方法もいくつかあるため、採用する計算方法によって理論株価も異なってきます。
えっ、理論株価はいくつもあるの???
具体的に、いくつかのサイトで現在の任天堂の理論株価を検索してみると…
Aサイト:52,413円
Bサイト:43,304円
Cサイト:18,079円
Dサイト:52,753円
かなりバラつきがあるわね。どの理論株価を参考にすればいいのかしら…
理論株価の計算には、多くの不確定な要素が入る上に、計算方法も複数あるため、どれが正しいとは一概に言えません。ですが、何の基準も持たないで株式投資をするよりも、自分なりにこれだと思う理論株価を見つけて、それを参考に株を売買していくと、その企業や投資への理解が深まると同時に、なにより株式投資がより面白くなります。
そうか、理論株価かぁ…でも、どうやって計算すればいいんだろう???
計算方法は複数あるみたいだけど、どの方法を採用すればいいのかしら???
理論株価の計算方法はいくつかありますが、ここでは特に「残余利益モデル」と呼ばれる方法を使って計算していきましょう。
ざっ、ざんにょ…もでむ…???
残余利益モデルの基本的な考え方は、『株価 = 株主資本 + 将来の残余利益の現在価値』というものです。もう少しかみ砕いて言うと、株価(企業価値)は、企業が現在持つ資産のうち株主の持ち分となる部分(株主資本)と企業が将来に渡って稼ぎ出す利益(将来の残余利益)の合計で計算するというものです。

なんとなくイメージは掴めたけど、具体的にどのどう計算するのかしら?
では、さっそく任天堂の理論株価を計算してみましょう。まずは、企業の今後の成長率を売上高の成長率から計算します。
・3年分の売上高の前年比を計算
①2020.3月期(予想)
$$ \small \frac{\small \mathbf{1,250,000-1,200,560}}{\small \mathbf{1,200,560}} = \small \mathbf{\underline{4.1%}} $$
②2019.3月期
$$ \small \frac{\small \mathbf{1,200,560-1,055,682}}{\small \mathbf{1,055,682}} = \small \mathbf{\underline{13.7%}} $$
③2018.3月期
$$ \small \frac{\small \mathbf{1,055,682-489,095}}{\small \mathbf{489,095}} = \small \mathbf{\underline{115.8%}} $$
・①~③を平均し成長率を計算
※前年比の上限下限は±25%とする
$$ \small \frac{\small \mathbf{4.1%+13.7%+25.0%}}{\small \mathbf{3}} = \small \mathbf{\underline{14.3%}} $$
次に企業が将来に渡って稼ぐ利益を計算します。
・EPSを5年後まで成長させる
※今期の予想EPS:1,762.9円
$$ \small \mathbf{1,762.9\times(1+0.143)^5}= \small \mathbf{\underline{3,439.2円}} $$
・5年後の利益を現在価値に換算
※割引率は6%とする
$$ \scriptsize \frac{\small \mathbf{3,439.2}}{\small \mathbf{(1+0.06)^5}} = \small \mathbf{\underline{2,570.0円}\tiny(成長EPS)} $$
次は、企業が将来に渡って稼ぐ利益から株主が要求する収益を差し引いて残余利益を求め、その残余利益が将来に渡って続くと仮定した上でその和を計算します。
・株主の要求収益を計算
※要求収益率は7%とする
$$\small \mathbf{11,833.9\tiny(前期BPS)\small×0.07} \small = \small \mathbf{\underline{828.4円}}$$
・今期の残余利益を計算
※残余利益=成長EPS-要求収益
$$\small \mathbf{2,570.0\small-828.4} \small = \small \mathbf{\underline{1,741.6円}}$$
・各期の残余利益の現在価値を合計
※各期の残余利益は同額とする
$$ \begin{align}\scriptsize \frac{\scriptsize \mathbf{1,741.6}}{\scriptsize \mathbf{(1+0.06)}}+\frac{\scriptsize \mathbf{1,741.6}}{\scriptsize \mathbf{(1+0.06)^2}}+\frac{\scriptsize \mathbf{1,741.6}}{\scriptsize \mathbf{(1+0.06)^3}}+・・・&\\\scriptsize=\scriptsize \displaystyle \sum_{ t = 1 }^{ \infty } \scriptsize \frac{\scriptsize \mathbf{1,741.6}}{\scriptsize \mathbf{(1+0.06)^t}}=\scriptsize \frac{\scriptsize \mathbf{1,741.6}}{\scriptsize \mathbf{0.06}}=\small \mathbf{\underline{29,026.7円}}\end{align}$$
最後に、上記で計算した残余利益の合計(総残余利益)と前期末の1株あたり純資産(BPS)を足して理論株価を求めます。
・理論株価=前期BPS+総残余利益
$$\small \mathbf{11,833.9\small+29,026.7} \small = \small \mathbf{\underline{40,860.6円}}$$
これで現在の任天堂の理論株価は40,860円と計算されました。
ダメだ…むずかしすぎる…うぅぅ
大丈夫です、表計算ソフトなどにあらかじめ計算式を入れておけば簡単に理論株価を求めることができますので、この計算式を覚える必要はありません。
よかったぁ~
どんな企業も同じように計算すればいいのね。
今回は企業の成長率に売上高の伸び率を使ったり、将来の利益の反映年数を一律5年と設定していますが、これらの数値を業界や企業ごとに柔軟に変えることでより実態に合致した理論株価を求めることもできます。いろいろ試してみるのも面白いですよ。
たしかに企業によって事業や収益の特性などが違っていることを考えると、その企業に合わせて計算方法もアレンジすることも必要になってくるかもしれないわね。
では、最後に実際の株価と理論株価の動きを見てみましょう。
任天堂の株価と理論株価の推移を表示します。
だいたい同じ動き???
このグラフで理論株価より実際の株価が高い場合は割高、安い場合は割安と判断すればいいのね。
そうです、株価と理論株価は同じような動きになることが多いので、理論株価の水準や今後の方向性を予想することで株の買い時や売り時の判断がしやすくなります。この理論株価をうまく使うことが投資で成功する近道かもしれませんね。では、本日はここまでにします。ありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
スリープモードに移行します…zzz